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大リーグキャンプレポートC−サボテンリーグ、そして終わりに−
3月8日、マリナーズのキャンプ地、ピオリアを訪れた。ピオリアはアリゾナ第1の都市、フェニックス郊外にあるベットタウンだ。アリゾナはフロリダとはがらりと景色が変わる。ここは通年湿度が低い乾燥地帯。フロリダ州内でキャンプを張るチームのリーグをグレープフルーツリーグと称するのに対し、アリゾナ州内のそれはカクタス(サボテン)リーグと呼ばれている。文字通りフロリダには、延々と続くグレープフルーツやオレンジの畑がたくさん見られたが、アリゾナは砂漠のように乾いた土地に、サボテンがポツリポツリと植わっているくらいで、あまり緑がない。気温はフロリダよりやや低いが、汗が出ないため、いつの間にか脱水症状のようになりやすく、疲れも相俟って頭痛が続いた。
マリナーズのキャンプ地はこれまた広大で、パドレスも同じ施設を使っている。試合前、選手達は6面はあろうかというサブグランドの一つで打撃練習を行っていた。仰木氏にとって、マリナーズにはイチロー選手をはじめ、球団関係者にも知り合いが多いため、やっと戻ってきた、という思いがあったようだ。打撃練習中でもケージに近寄って、選手達と談笑できた。ブーン、オレルッド、エドガ−・マルティネス、キャメロン、そしてイチロー選手と、次々選手達に声をかけた。彼等も、ヤンキースの選手に比べると、打ちこむ量が多いように見えた。多くの選手がグランドでフリーバッティングを終えると、隣の室内打撃練習場でもくもくと打ちこんでいた。
試合は、この日のジャイアンツ戦と、翌日のロイヤルズ戦の2試合を観戦した。イチロー選手は2試合でホームラン1本を含む4安打と大活躍。ホームランボールは我々が観戦していた、ライトの芝生席のすぐ上を超えていった。試合後、イチロー選手は仰木氏を熱心にゴルフに誘っていた。昨年までは、シーズン中にイチロー選手の方からゴルフに誘うことなどなかったことだと仰木氏は言う。「昨年はMVPを獲った後のシーズンということで、周りからのプレッシャーも相当あったようだが、今年はのびのびとやっている。ゴルフに誘ってくるという事は、精神的余裕の表れだろう。」このように、仰木氏は今年のイチロー選手の大活躍を予感する。
一方、佐々木、長谷川の両投手は、ロイヤルズ戦の試合前に行われた練習試合に揃って登板した。今年は2人とも、新球、カットボールに真剣に取り組んでいるそうだ。今年もこの2人の活躍が、マリナーズ投手陣にとって頼もしい存在となるだろう。
最終日3月9日は、レンジャースのキャンプ地を訪ねた。今年からレンジャースの監督に就任したショーウォルターは、仰木氏がオリックスの監督だった頃からの仲だそうだ。仰木氏は、球場に到着するまでの車内で、「ハウ・アー・ユー?ディス・イヤー・バック(ショーウォルターのファーストネーム)マジック・オーケー?」と、さかんに復唱していたのだが、いざグランドで会うと、ショーウォルター監督の方が背後から、「ハーイ・オーギマジック!今日は監督しに来たのか?」と仰木氏の肩を叩き、先手を打たれてしまった。
打撃練習中にはアレックス・ロドリゲス選手と話す機会もあった。彼は「レンジャースに来て、一段と打撃に自信がついた。」と語る。年俸25億を稼ぐ男ではあるが、決して1年中ランニングとウェイトトレーニングを欠かさないと言う。そのロドリゲス選手が師と仰ぐ、打撃コーチのジャラミーヨともいろいろと話しをすることができた。彼は昨年の日米野球の際にコーチとして来日したそうで、リトル・マツイ(西武・松井選手)とノリ(近鉄・中村選手)は必ずメジャーで通用する、と絶賛していた。特に松井選手のバットスピードの速さと、足、守備範囲の広さには驚いたそうだ。一方、ヤンキースの松井選手については、外の変化球に少し弱そうだとの見方を示していた。ヤンキース戦で松井に対して、どのような攻め方をするかが楽しみだ。
これで2週間の日程を終えた。まずは無事に旅を終えられたことで安心している。今回私にとって、この旅を順調にすすめる事が最優先だった。ホテルのチェックインから、車の運転、そして通訳に至るまで、全てを問題なくこなすことができた。仰木氏は、時にぼくを褒め、励まし、気楽にさせてくださった。監督時代は選手を乗せるのがうまいと賞されていた仰木氏だが、今回の旅でも私をうまく乗せてくださったように思う。マジックと呼ばれた采配ぶりからもわかる大胆なところと、とてもきめの細かいところと、両面を持ち合わせた方だと思った。又、今回の旅で、多くの監督、コーチ、選手の方々とお会いすることができた。彼等が今年はどのような活躍を見せてくれるのか。間もなく迎える大リーグの開幕が待ち遠しい。
【編集後記】
最初に中谷君から「仰木前監督のメジャーリーグキャンプ取材に同行する」という話を聞いたときに、羨ましいとかそんなことを考えるより先にこの企画を思いついた。しかし「ものぐさな彼がこの話にOKするだろうか?」などと思いながら話を持ちかけると、意外やすぐに乗ってきた。チームとしても運良く(?)中谷の渡米中は一試合が行われたのみで、人数的、戦力的にコレといったダメージを受けることなく、無事帰国を果たしてくれた。ただ、写真や文章について、このホームページ上でどの程度まで公開できるのかといったような不安もあったが、予想以上に臨場感あふれるレポートで、内容も濃かったので非常に感謝している。仰木氏や田口選手の知られざる素顔にまつわる話や、彼らと交わした野球談義について聞かされたときはさすがに羨ましいと思った。そして、きっとそれらは「草野球プレイヤー・中谷」のこれからの大活躍に結びつくに違いないだろう。偉そうに書いてしまったが、今回のキャンプレポートを皮切りにこれからもどんどん独特の切り口でコラムを書き続けると決意した「鯛ちゃん」こと中谷選手に大いに注目して行こう!
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