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大リーグキャンプレポートB −移動そして又移動−
ビエラはタンパから車で約3時間、フロリダ半島を横断して大西洋側に位置する小さな街だ。高速を下りてしばらく一本道を走ると、遠くに球場が見えてきた。あたりには家どころか、建物すら全くない。360度何もない荒野に、コンクリートの球場が、ぽっかり出現したかのようだ。球場に着いた時には、すでに試合は8回を迎えていた。エクスポズのキャンプ地に寄ったのは、大家投手と友岡コーチを訪ねる目的だった。しかし、この日はすでに大家投手は球場を後にしてしまっていた。試合後、トレーニングルームの横にある、友岡コーチのオフィスに招かれた。仰木氏も昨年1度友岡コーチに会っているそうだ。試合後も多くの選手がウェイトトレーニングや体操に汗を流している。印象的だったのが、試合終了直後のグランドで、友岡コーチが選手達を集めて、何本もダッシュをさせていたことだ。他チームでこのような練習の光景を見ることはなかった。友岡コーチの情熱を感じさせられた。以前コーチは、「大リーガーはなかなか言う事を聞いてくれない。」と嘆いてたことがある。コンディショニングの重要性を説く友岡イズムが、チームにだいぶ浸透してきている様子だった。
翌日、3月2日からの2日間は、ビエラから車で1時間ほど南へ下った、ベロビーチのドジャータウンを訪れた。ドジャータウンは、やしの木など緑の多い住宅街のはずれにある。ここはメイン球場の他に、サブグランド3面と寮がある他、ゴルフ場も有する。ドジャースはここで50年以上キャンプを張るという、歴史あるキャンプ地だ。球場に着くと、まずコルボーン投手コーチと出会った。会うなり木田投手の事故について聞いた。コルボーンコーチによると、足の親指と背中の骨を折ったと言う。仰木氏は早速見舞いに行こうと病院に連絡したが、球団関係者以外は面会できない、ということなのであきらめた。後日、実際はコルボーンコーチが言うほど重傷ではなかったと聞き、胸をなでおろした。
この日ドジャースは石井投手が先発だった。初回はランナーを出しながらもダプルプレーで切抜け、2回は3者凡退。順調な仕上がりぶりを見せた。コルボーンコーチも「今年は1球1球に集中できている。」と石井投手の成長ぶりを賞した。しかし、昨年こそほぼ1年を通じてローテーションを守ったものの、今年はケガから戻ってくるドライフォートがいるため、その座は決して確保されているとは言えないだろう。
翌朝、サブグランドでは朝10時ごろから、2組に分かれて投内連携の練習が行われていた。片方を監督のトレーシーが、もう片方をコルボーンコーチが指導。2人とも日本野球の経験があるからか、ヤンキースよりも練習量があきらかに多い。当日登板の野茂も練習に加わっていた。その野茂投手は、開幕投手の有力候補に挙げられている。試合前、仰木氏がその件について触れると「日本で監督は開幕投げさせてくれなかったじゃないですか。」と、冗談半分に窘める場面もあった。その日は先発のマウンドに上がり3回を投げ、再三ランナーを出したが犠牲フライの1失点に抑えた。ピンチでも動じないふてぶてしさは貫禄十分だった。
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仰木氏、田口選手と |
ベロビーチから田口選手の所属するカーディナルスのキャンプ地、ジュピターへは、車でさらに1時間ほど南下する。ここは、フロリダ・マーリンズも同じ施設を使ってキャンプを張っている。カーディナルスの球団事務所でメディアパスを申請すると、特に念入りにチェックするでもなく、すぐにパスを出してくれた。ヤンキース戦の時はあまりにも報道陣が多く、球団関係者もピリピリしていたが、他の球団は非常に良心的だった。
田口選手は午前中、マイナーリーグの選手を中心に行われたゲームに出場した後、午後からの本戦にも7回の守備から出場。快音こそ聞かれなかったが、試合後の表情はさわやかだった。「今が精神的には一番きついですけどね。やるしかないですよ。」と前向きに語ってくれた。カーディナルスの外野陣はリーグ屈指のため、故障者が出ない限りレギュラーの可能性は低いが、メジャー定着は期待したい。その夜、家にもお邪魔させていただいたが、リビングでも靴を履
いたまま、甘いドーナッツを頬張る姿は、だいぶアメリカ生活にも慣れた事を物語っていた。
翌3月5日は新庄選手の所属するメッツが、マーリンズ戦のためジュピターに訪れた。この試合新庄選手は6番ライトで先発出場、第2打席で痛烈なレフト前ヒットを放った。メッツの外野陣はそれほどしっかりしていない上、ケガの心配がある選手が多いので、レギュラー獲りのチャンスもあるだろう。
翌日は1日アリゾナへの移動に費やした。早朝にオーランドのホテルを出て、辺り一面銀世界のシカゴを経由し、中西部、アリゾナ州フェニックスには夕方到着した。旅も残すところ後4日。いよいよ大詰めを迎えた。
